12月14日夜、シルクホテルで開催された飯伊病診部会第2回研修会に出席しました。ひまわり薬局からは4名出席しました。
静岡県立大学大学院薬学研究院・薬学部実践薬学分野教授 並木徳之先生より『服薬アドヒアランス向上を目指したDOAC・OD錠の臨床投入開始』というテーマで、ご講演頂きました。
先生は、大学の研究室で口腔内崩壊錠(OD錠:Oral Disintegtegration)の研究・開発をされています。
OD錠は、①高齢者など嚥下機能が低下している方でも服用しやすい②水分制限をされている場合、飲水量を減量できる(3錠をOD錠にすると飲水量を67%減らせるという報告もある)③人知れず服用できる(薬を飲んでいることを知られたくない場合がある)などのメリットがあります。
国民の医療費は年々増加し続け深刻化していますが、その中で「残薬」の問題があります。2007年の調査では「残薬」の年総額は、75歳以上の高齢者だけでも475億円と言われています。
服薬アドヒアランスを上げるためには様々な提案があると思いますが、今回はアドヒアランスを高めるための製剤特性に注目しています。“低いアドヒアランスは患者さんだけのせいではない”ということです。
期待する治療効果が得られる可能性を高める製剤特性として、①服薬回数を減らす ②服薬の剤数を減らす ③服薬の障害を減らす が挙げられます。OD錠は服薬の障害を減らすことができる製剤です。
脳梗塞などの再発率の高い病気において、再発予防薬がきちんと服用されていない実態があり、薬を簡単に飲めるようにすることは、本人あるいは介護者にとって服薬の負担を減らすことができ、服薬の優先順位の高い薬をOD錠にすることは、意味のあることだそうです。
今回発売されたDOAC(直接作用型経口抗凝固薬)のOD錠は、服薬アドヒアランスを上げる=残薬を減らす・再発率を下げる=医療費削減 まで期待できるのではないかというお話しでした。